#聴けない歌だらけのおんなのこ 『東京で恋をすること −TokyoCircle- #5』

東京ではたくさんの人間関係が交差して、絡まって、
大きい一つのサークルみたい。

今すれ違ったあの人は、昔好きだった人だった。
隣のあの子は、わたしが好きなあの人の元カノかもしれないし。

いつも“どきどき、 キラキラ、わくわく”
だけじゃないけれどそれでも恋するのがわたしたち。



騒がしい東京の20代恋愛事情を
#うそつき恋人 #いじわる片想い #さよなら失恋
#なおんなのこ #なおとこのこ
などのテーマ別に毎週更新でお届けします。

ふたりだけが知っている

♫今週のBGM
「SkinnyLove」 / Birdy

長く付き合った彼に突然フラれてから1年経っている、
そんな友人のSちゃんは、
友達の立場から客観的に見ても彼女にするのには特に欠点はない、
それなりにきっと可愛いし、普通にいい子。
元カレにはわがままとか言ってたのかな?


浜崎あゆみさんの歌詞に
「恋人たちはとても幸せそうに手を繋いで歩いているからね
 まるですべてのことがうまくいっているかのように見えるよね
 真実はふたりしか知らない」
ってあるように、

外からの評判が、
「長年付き合ったいい子の彼女を無惨にもフッて変な女に乗り換えた最低男」
 と
「いい子で一途に愛してきた彼氏に突然捨てられたいい女」

だとしても、それは一つの見方にしか過ぎなくて、
ほんとのところはふたりにしかわからない。

Sちゃんが、
「悪いのはどちらかというとわたしなの」
と言った言葉にすべてが要約されてる気がした。
悲劇のヒロインぶりたいタイプの女の子ではなく、
本心でそう思っているように聞こえた。

ラブソングが聴けなくて

「新しい恋はどうなの?」
そう聴いたとき店内に流れたのは、
エド・シーランの「Thinking Out Loud」。
結婚式の定番曲の一つでもある甘いラブソング。
Sちゃんの顔が固まった理由はすぐにわかった。

「これ以上、聴けない歌を増やしたくないのよ。
 街で耳にすると、身体がぞっとする。
 ベッドの中で聴いたその曲のメロディと、
 背中で感じていた、
 あの人のぬくもりが一緒に記憶されてて」

一途な女と、重い女は紙一重だ。
別れてから時間が経ってるのに、
そんなことを言い出す彼女に、
こちらこそ身体がぞっとしつつも、
友達としては素直に心配だった。

「切ないとかそんな甘っちょろいものじゃなくて。
 ぞっとするの。
 昔、嵐の日に飛行機に乗っていて、
 すごく揺れて、、
 その怖さと似ててね。
 嵐でも雲の上はキレイ、とか言うけど
 わたしの席からそのキレイな景色は見えないまま
 目的地に到着しちゃって」

聴けない歌だらけ

次にかかったのは、
THE失恋ソングのBritneyの「Everytime」だったけど、
さっきより顔が晴れているのは明白だった。

「これは平気なんだね」

「うん、失恋ソングがだめとかそういうことじゃなくて、
 まぁこれもできれば聴きたくないんだけど。
 思い出のある幸せなラブソングが1番嫌かなあ。」

そう言いながら、
CITYSHOPのサラダをつついているSちゃん。
改めて彼女の風貌を見るとやっぱり、
1年以上前に別れた元カレの呪縛から
未だに逃れられていない子には見えなかった。
キラキラ系女子の私生活がキラキラとは限らない。

「聴けない歌だらけ。
 好きな曲だったのにさ、全部。
 だからまた次の恋愛して、うまくいかなくて、
 聴けない曲がどんどん増えてくのがこわい。
 英語なんて勉強しなきゃよかった。
 意味がわからなければ聴いてられたかも」

二度に取り戻せないから

そんなことを言った彼女がそっと浮かべた笑顔は、
どこか哀しげで、
切ないより哀しいものだった。

彼が恋しいんじゃなくて、
一緒に過ごした時間と関係が恋しいSちゃんは、
それが二度と取り戻せないものだということを
誰より理解しているから、
その笑顔を浮かべたんだろう。
なぜか、なくしたものこそキレイに見えて、
どうしようもなく欲しいときがある。
誰も気に留めない、
カフェのふとした瞬間のBGMが
誰かの、誰かとの記憶を呼び戻して心を粉々に砕いている瞬間があるのかも。
聴けなくなった曲たちを、
彼女が聴ける日がきますように、
哀しさが切なさに変わる日が来ますように。

さよなら失恋 恋愛 音楽

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この記事を書いた人

一木美里

一木美里 Misato Ichiki
歌手/DJ/SamanthaThavasaGroupブランドレップ/コラムニスト
198…

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