【ゾッとする怖い話】「待って」格安アパートで起きた恐怖体験

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格安アパートには、なにかしらの理由があります。
古さや築年数、土地柄、アクセスの利便性。
しかし、申し分のない条件の部屋が格安だったら……?
そこには見えない理由が隠れているのかもしれません。

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松木あや
松木あや
2024.11.09

ベランダに立つ彼女

アパートの暗い一室出典:stock.adobe.com

そのアパートに入居したのは、当時付き合っていた彼女との同棲がキッカケでした。

満足にお金もない頃だったので、とにかく安いアパートを探していたのです。
古くてボロボロのアパートを覚悟していた私たちに不動産屋が提案してきたのは、比較的キレイで街へのアクセスも悪くない、好条件のアパート。

その部屋への入居をすぐに決めた私たちは、これから始まる二人きりの生活に心を躍らせました。

しかし、入居してすぐのある夜のこと。

夜中に目が覚めた私は、彼女と寝ているダブルベッドから這い出て、水を飲みに台所へ。
乾いた喉を潤し、寝室へ戻ると……

「ん?」

彼女が、寝室の奥にあるベランダに立っていました。

「眠れなかったのか、外の空気を吸って気分転換でもしているのだろう」と、そんな彼女を横目にベッドへと体を滑り込ませました。

そして、先ほど寝ていた通りの定位置に戻ると……

「……え?」

彼女は、いつものようにベッドで寝ているのです。

待って

それからも何度も、夜中にベランダに立つ女性を見ました。

彼女に話すと怖がらせてしまうと思い、自分だけの秘密にしていましたが、何度見ても気味が悪い光景です。

夜中はなるべくトイレや水を飲みに立たないよう努めました。
しかし、喉の渇きはともかく、トイレは我慢ができるものではありません。

その日も夜中に尿意を催し、目を覚ましました。
あの女性の姿を見るのは気味が悪いけど、姿形が見えるだけで、特別何かをしてくるわけではありません。
「仕方ない、なるべくベランダに目を向けないようにトイレを済ませてこよう」と、ベッドから出ようとすると……

「待って」

彼女が、私を引き留めました。

聞こえる音

「どうしたの?」

私は彼女に尋ねると、ぽつりぽつりと話し始めました。

どうやら、私が夜中に寝室を抜け出すと、彼女にはある音が聞こえてくるのだといいます。
その音は、ベランダから……

“ギッ……ギィ……ギィ……”

“バタッ……バタバタバタバタバタッ”

“ギィ……ギィ……ギィィ……ッ”

それは、まるでなにかが、ロープに吊るされているような音だと言うのです。

“想像”は、確信に

マンションのベランダ出典:stock.adobe.com

私は、自分にも女性の姿が見えていることを彼女に話しました。
彼女は驚いていましたが、そこで二人の頭に、ある一つの“想像”が巡ります。

私たちは翌日、アパートの他の住人へ話を聞きにいきました。そう、その“想像”を明らかなものにするために。
そしてそれは、思った通りのものでした。

この部屋では以前、女性が自ら命を絶っていたのです。
場所は、あのベランダ。柵にロープをかけての、首吊りだったといいます。

彼女に聞こえていた、あの音は女性がロープに吊られながら、暴れた音だったのでしょう。

※この物語はフィクションです。
※記事に使用している画像はイメージです。

 

松木あや

◆松木あや

ホラーやオカルトが好き。在住する東北の地で、ひんやりとした怖い話を収集しています。
恐怖体験の「おすそわけ」を楽しんでもらえると嬉しいです。

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松木あや

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