恋は最高に楽しい?
今週のBGM♫ 「Final Song」/MØ
恵比寿のアトレのトイレに入ると
メイク直しの鏡の前に並んだ女子高生ふたりが、
「ああきゅんきゅんする、
恋は最高に楽しい!」
と言って、
ピンクのリップティントを塗りながら
好きなひとから来たLINEのメッセージにはしゃいでいた。
あまりに無邪気な声に少しのあいだ会話に耳を傾けた。
その子が今やりとりをしてる
男子大学生から届いたという
何度が聞いたことあるような甘い言葉を聞きながら
’’どうかその彼が彼女の心を傷つけませんように’’
と願ったけど
たぶんその願いは届かない。
おんなのこの勘は、
哀しくも日々鋭くなり、
おんなのこがおんなになる頃、
気づかないフリができるようになる。
死にそうになる1回
上の階のスタバで親友と合流して
さっき遭遇した女子高生たちの話をした。
「わたしたちにもそんな頃はあったよね。
疑うことなんてなく、ただ純粋に恋に落ちて、
どっぷり溺れて、
酸いも甘いも味わって、
一度死にそうに傷ついた日から、
簡単に恋しないように
慎重になった。
その女子高生はきっとその
’’死にそうに傷つく’’恋愛経験がまだなのね」
「そうだね。
たとえばいいかもって思ってる人から
’’早く会いたい!’’なんて連絡来た日には
めちゃくちゃ身構えちゃう。
ああこの人はもしかして
恋の落とし穴に
わたしを先に落とすつもりかな?とかね」
鈍感な女か、惨めな女か?
「恋なんて
どちらも好意を持ち合ってるときしか
楽しいわけがない。
異性としての、ドキドキの好意ね。
人として好き、とかじゃなくて。
その状況を楽しめ、なんて言われるけど
好きな人の好きが違う子へ向いてたり
自分へ嫌悪感を抱いてるかもって感じたときに
惨めにならないでいられる女は
強いんでもポジティブなんでもなく
ただの鈍感な女だよ」
惨め、という言葉が妙にしっくりきた。
好きなひとに
自分の好きな気持ちがバレた後
なんだかばつが悪そうに
少し避けるような態度もとられたときは
もう消えてしまいたいくらい
惨めな気分になる。
そのたびに思い出すのは、
「グレート・ギャツビー」の中でのデイジーの言葉,
’’女の子は美しいおバカがもっとも幸せ’’
「女子高生ならいいよね、
アラサーでそういうの味わうと
なんか鈍く強くなって達観できてるようで
心の抉れ方はけっこうだよ」
気になっている彼のことを思い出した。
そのひとのこと
気になってるからこそ
返事がなくなるのが怖くて
絶対に?をつけない
いつLINEが途切れても
惨めな気持ちになんてならなくて済むように。
好きなひとができること、
その人のことを好きだと認められるひとになること、
相手が落ちるかわからない恋の落とし穴に
自ら飛び込むように落ちること、
あの頃できていたことのほとんどが
おとなの今こそ難しい。
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