女は男を「カラダの相性」だけでは判断しない
韓国旅行から3週間経ち「韓国ロス」に陥っていた私は、ユミとマンダリンオリエンタル東京でアフタヌーンティーをすることに。
「あれからタクミさんとどうなの?」
会うなりユミの直球な質問に戸惑う私。だって、お礼メールを送ってタクミさんから "また誘うね" と返信が来たっきり3週間、私たちは連絡を取っていない。
こんなにも長い間、次のお誘いがこないのは人生初の出来事。何か気にくわないことをしてしまったの?彼はもしかしたらチャラいのかしら?……色々な不安がありつつも23年間、百戦錬磨な女のプライドをかけて「んー、まあまあかな。忙しくて会えていないの!」と答えちゃいまーす、ごめんね、ユミ。
「そういえば今夜、トモヤさんと麻布十番の幸村(ゆきむら)に行くの!」
「ああ!花山椒のしゃぶしゃぶで有名な……ってえ!?トモヤさん?」
「あれからね、私たち週2でごはんしてるの!」
「えーーー!?カラダの相性合わなかったんじゃなかったの?」
「そうそう、でもね思い出したの!私、カラダの相性が合わない元カレと1ヶ月続けてみたらすごくよくなった実績があるの。しかもトモヤさんって御曹司でグルメでしょ?こっちは金銭的にデメリットないし別に遊ばれてもいいかなぁって。男って裏切らない女が好きだから当面は誘いには全て乗って、彼が遊ぶ女の中で出席率高い女になるのが目標♡」
女と"遊んでやっている"とドヤ顏する男には、女も"次の男が見つかるまで遊ばれてさしあげる"と遊び返すのだ。女が器用に立ち振る舞えるのは、おままごとやリカちゃん人形で演技力を養ったからかもしれないわね。
あの料理を食べるたび、私を思い出して欲しい
ユミの前で"勝気なイイ女"を演じた数日後、タクミさんから連絡がきた。
ー出張から帰ってきたよ!明日の夜空いてるかな?ごはんに行こう。
ああ、明日はパーソナルトレーニングの日だ、いまから断ると1回分(8000円)が消化となってしまう……普通なら「明日はジムだー!ごめん、来週にしよう?」と提案するところだけれど、彼はスペシャルな人だからスペシャルな対応をしなければ他の女に目移りされちゃう。約1ヶ月後の再会に駆け引きをしている暇はないので1分で返信。善は急げ!!
ーおかえりなさい!明日、大丈夫です♪
ーいいね♪何食べたい?
正直、男からの「何食べたい?」はきらい。明日のディナーで食べたいものなんて、明日のランチをしてからじゃないとわからないじゃない?でもね、私はタクミさんにはこう答えるって決めてたの。
ー中華が食べたいです。
中華一択にした理由は3つ。まず" お店を選ぶ時間 "を最小限にしてあげるという多忙な彼への私なりの思いやり。つぎに、ちょうどこの11月は上海蟹(オス)のシーズンだったから。そして、私は彼を見るたび、お腹がいっぱいだからと恵んでくれたフカヒレを思い出す。だから、彼にもフカヒレを食べるたび私を思い出して欲しいの。
ここぞ!というときの「デート早退」で願掛け
タクミさんと中華を食べるという素晴らしい日、クライアントとのアポもなかったので" 体調不良 "という名目で入社して初めて会社を早退した。だって、ネイルもマツエクもボロボロだったし、少しでも可愛いと思って欲しいから小顔エステにも行きたかったんだもん。
とにかく彼はスペシャルな男。隣に並ぶ資格を得るためには、オリンピック代表選手のようなストイックさで自分を磨きあげなければ。
今宵のお店は、六本木の中国飯店。
やたら高級店が好きな港区女子なら「えー!六本木?麻布の富麗華(※)じゃないんだぁ……」と落ち込むはず。でも私は彼女たちに言いたい。2万円以上の食事代を自分で払うつもりがないのなら贅沢言うんじゃないわよ、と。
【セレブ用語集】
※富麗華(ふうれいか)……麻布十番にある中国料理の名店。中国飯店の姉妹店で価格がちょっぴり高いことから「中国飯店<富麗華」とマウンティングする港区女子多数。上海蟹のシーズンは特に人気。
北海道でのタクシー代は◯◯万円……!?
席につくなり「今日も可愛いね!」と褒めてくれるタクミさん。気付かれないように心の中でガッツポーズ。とりあえず銅メダルはいただけたみたい〜♡
タクミさんと上海蟹のコースを楽しみつつ、北京ダックや小籠包などのアラカルトもいただく。
「そうだ!みーこちゃん、12月末は何してる?北海道にトモヤたちとスノボしに行くんだけどくる?」
2回目の旅行の誘い。好きな人との旅行だからすごく嬉しいけれど、残念なことに私はウィンタースポーツが得意じゃないの。真っ白な雪の上を、ゴツい板でたどたどしく滑る姿を見られて、まだ見ぬライバル女子たちに引けを取ってしまうのもイヤ。
「わたし、ウィンタースポーツがちょっと……。」
「あ、大丈夫だよ!というかやらないでほしい。俺たち上級コースで相手できないし、怪我しないか不安だからエステとか読書して今年の疲れを癒しなよ。」
このお誘いにNOっていう女の子いるのかしら?もちろん私は、即OKの返事をしたわ。
帰り際に「これ、新千歳空港から現地までのタクシー代ね。2時間くらいで着くはず。あと寒いから防寒服買って!じゃあ北海道でね。」と言われ分厚い白い封筒をもらった。
家に帰って確かめるとその封筒に入っていたのは……複数枚の福沢諭吉(1万円札)さん。
……え?こんなに?
いままでにも私は「タクシー代」という名目で数枚の福沢諭吉をいただいたことがあるけれど、あの枚数の福沢諭吉は23歳史上最多でビックリしちゃった!
タクミさんは北海道旅行のタクシー代として、一体いくら包んだのか……。
気になる後編は旅色プラスで!