【ゾッとする怖い話】「あれ?だれかと一緒に住んでるんだっけ?」友人宅で起こった恐怖体験

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怪奇現象が起こるという友人宅。
「家を見てほしい」と頼まれた男性が目にしたものとは……?

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底渦
底渦
2025.06.02

友人からのメール

あの日、僕はこの世で最も恐ろしいものを目撃しました。

きっかけは、高校時代の友人であるTから届いた数年ぶりのメール。

『お前、霊感があるって言ってたよな?
実は聞いてほしい話があるんだ。
今度会えないかな?』

なにか困っているのでしょう。
「視えるだけで、祓うことはできないよ」と伝えたうえで、なにか力になれるなら、と僕はTに会うことにしました。

当日、飲み屋に現れた彼は、僕が知っている頃より随分やつれた様子でした。

怪現象

居酒屋の玄関出典:stock.adobe.com

「実は……いま住んでいる家に……出るんだよ」

日本酒をあおりながら、赤い顔でTは続けます。

「俺は霊感とかないからさ、なにかがハッキリ見えるわけじゃないんだ。
でも……カーテンを開けると壁に自分以外の影が映ったり、
何かがドアを開けて家の中を歩きまわる音が聞こえたりするんだよ」

すがるようにこちらを見つめる彼の瞳。
しかし、Tの周囲に霊的なものは感じません。

「引っ越しはしないの?」
「一度したんだけど……。俺についてきてるのか、変わらなくて。お前には何か見えてる?」

こういう場合、僕の目には黒いモヤのようなものが大抵見えるのですが……。
やはり、Tになにかが取り憑いている様子はありません。

「うーん、悪いものは見えないけど。家の中に住み着いているのかな?」
「じゃあ、ウチまで一緒に来てくれないか?ここからすぐ近くのところなんだ」

憔悴しているTを放っておけず、僕たちは飲み屋を出て、彼の住むアパートへと向かったのです。

家にいたもの

5分ほど歩き、やや年季の入った3階建てのアパートの前でTは足を止めました。

「あそこが俺の家」

指をさした先には、明かりのついた部屋。

「あれ?だれかと一緒に住んでるんだっけ?」
「いや、誰もいない。でも、いつも電気がついているんだ。家を出る前には必ず消しているのに」

そう言いながら、Tは部屋の鍵を開けます。
彼に続いて玄関を通り、明かりの灯ったリビングへと足を踏み入れました。

「え……?」

それは、驚きのあまり喉から出た声。

Tが「誰もいない」と言ったはずの部屋の中には、中年の女が立っていたのです。

その女は僕と目が合うと、すっと人差し指を口元に近づけました。

(言わないで)
音もなく、そう動いた唇。

「なに?なんか感じる?」

Tはそんな女をまったく気にする素振りもないまま、不安そうに僕に問いかけます。

「あ、いや……なんでもない」

僕は女から視線を外しますが、体中から冷汗が止まりません。

だって、あの女は明らかに生身の人間だから。

物のない部屋

がらんとしたアパートの一室出典:stock.adobe.com

「その辺に座って。ごめんな、家具とかほとんど捨てちまったんだよ」
「……そうなんだ」

Tに促されるまま、僕は窓際の床に腰を下ろしました。

女はスーッとリビングの扉の近くに移動し、じっとこちらを見つめます。

正直、僕はもう冷静に話を聞ける状態ではありません。

「物を置くと、いつのまにか無くなるんだよ。それが気味わるくて部屋には何も置かないことにしたんだ」
「へ、へえ……」
「おい、顔色悪いぞ?水でも飲むか?」

Tは女の横を通りすぎ、キッチンへと向かいます。

すると、その女はまたスーッとこちらに寄ってきて、小さな声でこう言いました。

「あの人、昔の女からもらったプレゼントを捨てられないのよ。だから、私が捨ててあげたの。ただそれだけなのに、家具もぜーんぶ捨てちゃって」

にやにやと笑うその顔を見て僕はもう耐えきれなくなり、家を飛び出しました。
「幽霊はいないみたいだよ」と、Tに言い残して……。

彼がどうしてあの女の存在に気づいていなかったのか、僕にはわかりません。

人間の執着というものは幽霊よりもずっと恐ろしい、そう感じた体験でした。

※この物語はフィクションです。
※記事に使用している画像はイメージです。

底渦

◆底渦

中学生で都市伝説にドハマりし、2chホラーと共に青春を駆け抜けたネット廃人系オカルトライター。

怖い話の収集・考察が趣味です。

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底渦

中学生で都市伝説にドハマりし、2chホラーと共に青春を駆け抜けたネット廃人系オカルトライター。
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