一番大事なのは、素髪の魅力を引き出すこと
画像:LANVERYオーナー・菅野太一朗さん
————菅野さんのところには、美容師もこぞって通うのだと聞きました!菅野さんは、「素髪」の美しさを大事にされているそうですね。
素髪というのは、スタイリング剤などがついていない、すっぴんの状態の髪のことを指します。
髪には油脂や汚れなど、不必要なものがたくさん付いています。今、オイルやトリートメントがブームですが、必要以上に入れることを繰り返すと、それが蓄積して髪が重くなったり硬くなったり、乾きにくくなってしまうこともあるんです。
必要なものを必要なだけ入れた状態にすることで、髪本来の美しさが蘇ります。
————それは驚きです……、潤わせ過ぎも考えものということですね。
はい。サロンでは一番最初に炭酸やイオン水でクレンジングを行い、お客様の髪をリセットするところから施術をスタートします。
クレンジングすると髪がキュキュッとした感じを受けると思いますが、それは傷みではなく、むしろトリートメントが入りやすい素髪の状態になれた証です。人によっては髪のコシが増したような印象を持たれるかもしれません。
————クレンジングにそのような役割があったとは!私たちの髪は、思っている以上に美しくなれるということでしょうか。
余計なものをクレンジングして必要なものだけを入れた状態、つまり素髪のコンディションが整ったお客様からは、「すごくサラサラになった」と驚かれます。「髪を乾かす時間が短くなった」という感想も聞きますね。
————なるほど。素髪のコンディションが整うと、ブローも手短に済ませることができるようになるのですね。
「髪のキメ」がそろっていることが素髪の魅力を引き出す前提条件
————「髪のキメ」がそろっていることが美しい髪のカギだと聞いたことがあります。「髪のキメ」とは、髪の表面が乱れなく整った全体の毛流れのことなのだそうですが、新しい発想だなと思いました。
髪1本1本がキレイに並び、「髪のキメがそろった状態」が大事であるということは、私も花王さんから伺いました。
髪のキメというのは新しい言葉だとは思いますが、髪のキメをそろえるための施術はもともと存在していました。私たちが大事にしてきたことが、言語化されたような印象です。
————髪のキメをそろえることは、美容師さんが普段の施術で大切にしてきたことなのですね。
美しい髪の毛のポイントって、トレンドがあるにせよ普遍性もありますね。その普遍的な要素のひとつがツヤ感です。
髪の面に、よれた髪やシワの寄った髪が混じっているとなかなかツヤは出ません。ツヤを出すために、髪の毛が1本1本まっすぐに並ぶよう毛流れを整えます。
それがすなわち、髪のキメをそろえるということですよね。
————髪のキメをそろえるのは、素髪のポテンシャルを引き出すためにも有効でしょうか?
素髪の魅力を引き出す方法はいろいろありますが、髪のキメがそろっていることは必須条件です。
逆に、素髪のコンディションが整っていると、髪のキメはよりそろいやすくなります。
髪のキメがそろっているかどうかは、手触りのなめらかさで確認することができます。また、見た目の変化も大きいので、目視でもチェックできます。髪に光があたった際にキレイなツヤが出ていることは一つの目安になります。
お家で今日から始めよう!「髪のキメ」がそろうテクニックを指南
————「髪のキメがそろった状態」こそ、髪が美しい状態なんですね。それがまさに、菅野さんに施術していただいた直後なのだと思いますが、お家で髪のキメがそろった状態をキープする方法はあるのでしょうか?
シャンプーやブローでも、素髪のコンディションを整えることは可能です。
シャンプーは「予洗い」と「しっかりとした泡立ち」の2つのポイントを押さえると、不必要なものをしっかりと落とすことができます。
また、全体が泡立った後にそのまま1分ほど放置してから流すというテクニックもあります。ダメージがある髪でもこの方法は効果的ですが、強くきしみを感じるような場合は泡が行き渡った髪にトリートメントを重ねて塗布してから流すと良いですよ。
トリートメントは髪をマッサージするように指でなめしながら付けてください。トリートメントが手の温度で温まり馴染んだらOKです。
ただ、シャンプーは素髪の美しさを引き出すための土台作りのようなもの。大切なのはブローです。ブローは髪のキメをそろえるためにも重要かつ直接的なテクニックと言えます。
これが菅野流・ブローの答え!髪のキメをそろえて、素髪のポテンシャルを引き出すテクニックを公開
<STEP1> コームで髪をとかす
タオルドライの後、ブローに移る前にコームで髪を優しくとかして、もつれをほぐす。意外と忘れがち!注意!
<STEP2> 手ぐしを通しながらドライヤーの熱風を当てる
指先を小刻みに動かしながらサラサラになるまで根元を乾かす。根元が乾いていないと、湿気のせいで整えた髪が乱れてしまう。根元が乾いたら手ぐしで髪を引っぱりながら乾かす。ドライヤーは風が上から下に向かって吹くようにかけること。頭皮で熱風を感じれば髪の根元まで乾かせている証拠。不必要に髪を持ち上げなくてOK!
<STEP3> 髪の毛を指で挟んで伸ばしながら乾かす
乾ききりそうになったら、指2本で髪の毛を板状に挟み下に引っ張りながら乾かす。ドライヤーのノズルの平たい面は、挟んでいる指と平行にすること。
<STEP4> 冷風を当ててフィニッシュ
しっかり乾いたら、手ぐしをかけながら冷風を当てる。この時もドライヤーの風は下向きで。冷風をかけることで、髪に潤いが戻ってくるような感覚が得られるはず。冷風を当てることでしっかり乾いていない部分もわかる。乾いてない部分は後で乱れるので、しっかりと乾かす。
Q. パーマをかけている場合はどうしたらいい?
A. コームで髪をとかしたら、髪をねじったり持ち上げたりしながら温風で乾かして。ねじる過程で髪にテンションがかかるので、髪のキメがそろいやすい。冷風をかける場合は持ち上げながら。
Q. くせ毛の場合はどうしたらいい?
A. くせ毛を生かしたいのか、ストレートにしたいかで手法を変えて。ストレートにしたい場合は通常のブロー方法を、ある程度カールさせたい場合はパーマの場合のブロー方法を試してみて。
自分に似合うヘアスタイルの見つけ方
————最後に、菅野さんが考える「自分史上最高のヘアスタイル」との出会い方について教えてください。
自分にとって最高のヘアスタイルというのは、年齢やトレンドだけでなく、気分によっても大きく変わります。まずは、今、自分が好きなビジュアルや気になるスタイルを見つけることです。
ひとつに絞らなくて良いので、美容師さんと共有してください。
自分のベストは常に変わるものだと思います。だから都度見つける必要があります。
————自分の気分を知り、美容師さんの手が加わることで、その瞬間の最高のヘアスタイルが生まれるのですね。
髪のキメがそろって素髪の美しさが引き出されると、素直な髪になり扱いやすくなるので、ブローやスタイリングもしやすくヘアスタイルの幅が広がります。
だからこそ、ご紹介したテクニックはぜひ取り入れてみてください。そして、素髪の美しさをキープするためにも、髪のキメがそろうことを訴求しているものもありますので、自分にあったシャンプーやトリートメントを選ぶのも大事です。
髪に与える成分を必要最小限にすることこそ、髪のポテンシャルを最大化する秘訣です。
————自分の髪も自分自身も、まずはきちんと知ることが大事ですね。
必要なものを見極めて、今年の秋の自分にぴったりなベストヘアを見つけたいですね。
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