【ゾッとする怖い話】親しげに話しかけてきたのは……。幼いころの恐怖体験

Lifestyle

あなたは、幼いころに不思議な体験をしたことはありますか?
子供のときにだけ見えるもの、というとなんだかファンタジックで魅力的ですよね。
しかし、無邪気な子供に近づく存在が、いつも善いものだとは限らないようです。

― 広告 ―
底渦
底渦
2024.10.12

クチダケさん

押入れがある和室出典:www.photo-ac.com

私が小さい頃に住んでいた家には、私にしか見えない「クチダケさん」というオバケがいました。

クチダケさんは名前の通り、女性の顔の下半分だけがある幽霊です。
彼女は押し入れの中板の下に、張り付くようにして存在していました。

「○○ちゃん、お話ししよう。」

クチダケさんは心優しい幽霊で、ひとりっ子だった私にいつも明るく話しかけてくれます。

両親は、押し入れに向かって楽しそうに話す私を少々気味悪く感じていたようです。
しかし、放任主義だったこともあり、「兄弟がいないとこんなものかな」と軽く考えていました。

クチダケさんは私の話に相槌を打っていることが多く、自分の話はしなかったのですが、ときどきこんなことを言っていたのを覚えています。

「あなたは本当に可愛い顔をしているのね。目がクリッとしていて羨ましいわ」

「クチダケさんは口しかないのにどうしてそんなことが分かるんだろう」と不思議に思っていましたが、幼かった私はそれ以上に褒められた喜びを感じていました。

秘密のお話

和室にある押入れ出典:stock.adobe.com

ある日、母が用事で家を空けた日のことです。
ひとりでお留守番をする私に、クチダケさんがいつものように話しかけてくれました。

「○○ちゃん、お話ししよう。」

押し入れの扉を開けると、暗闇の中にクチダケさんの白い肌と真っ赤な唇が見えます。

保育園での出来事や、幼馴染のAくんのことなど、思いのままに話す私。
一区切りがついたところで、珍しくクチダケさんがある提案をしました。

「ねえ、○○ちゃん。もっとこっちに来て。秘密のお話をしてあげる」

“秘密のお話”という魅力的な響きに舞い上がった私は、クチダケさんの近くに寄って片耳を差し出します。

その瞬間。

「……ギャアアアア!!」

焼けるような激しい痛み。クチダケさんが私の耳にかじりついたのです。

「顔ちょうだぁい。顔ちょうだぁい。」

クチダケさんの声がハッキリと脳内に響きました。

「ああ、もうダメかもしれない……」
あきらめかけたその時、ちょうど母が玄関を開ける音が聞こえました。

「お母さあああん!!」

飛んできた母に保護された私は、幸運にも顔を失うことはありませんでした。

その後、私たち一家は別のマンションに引っ越しました。
私の耳には、いまもハッキリと歯型の傷が残っています。

※この物語はフィクションです。
※記事に使用している画像はイメージです。

 

底渦

◆底渦

中学生で都市伝説にドハマりし、2chホラーと共に青春を駆け抜けたネット廃人系オカルトライター。

怖い話の収集・考察が趣味です。

   

※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。

― 広告 ―
底渦

中学生で都市伝説にドハマりし、2chホラーと共に青春を駆け抜けたネット廃人系オカルトライター。
怖い話の収集・考察が趣味です。