古いビジネスホテル
これは、数年前に友人と体験した話。
好きなアーティストのライブ観戦を楽しんだ私たちは、会場近くのビジネスホテルに宿泊しました。
そこは、見るからに古びた外観のホテル。友人とは別々の部屋を取っていましたが、部屋は隣同士のようでした。
ライブ観戦後で疲れていた私たちは、チェックインを済ませると早々に各々の部屋へ。
私はそのままベッドへ倒れ込み、あっという間に眠りに落ちていたようです。
腕に触れたものの正体
夜中。ふと目を覚ました私は、ベッドサイドに置いていたミネラルウォーターに手を伸ばしました。
部屋は真っ暗なため、手探りでペットボトルを探していると……
「っ……?」
なにか“冷たいもの”に腕が触れました。
驚いて手を引っ込めた私は、腕が触れた先にある空間をじっと見つめます。
部屋は真っ暗なため、最初はただただ暗闇が浮かぶばかりでしたが、だんだんと目が慣れてきて……
「っ……!」
ぼんやりと形がわかってきたのは、先ほど触れたであろう“冷たいもの”。
その正体は……
「ぎっ、ぎゃ……ぎゃぁああっ!!」
横たわる私を間近で見つめる、知らない女性の顔でした。
そのホテルは……
“ドンドンドン!”
私の叫び声に気が付いた友人が、部屋のドアを叩きます。
「どうしたの?」「開けて!」などと心配する声が聞こえてきますが、私は恐怖のあまりその場から動けずにいました。
そうこうしていると、目の前の女性はどこか薄気味の悪い笑みを浮かべ、だんだんと私に覆い被さるように近付いてきて……
「ひっ、ひいいぃっ!」
大きな口を開け、私の顔に迫ってきました。
それはまるで、そのまま私を飲み込もうとしているかのように……。
私は反射的に体をよじり、ベッドから転げ落ちるようにして玄関ドアまで走りました。ドアを開けると、心配そうな友人の顔。
「変な女性がいる!」と説明する私に、もちろん友人は困惑。そして一緒に恐る恐る部屋を確認してくれましたが、先ほどの女性はどこにもいませんでした。
その後、私は友人の部屋に避難。
朝を迎えると、荷物をまとめてすぐにホテルを後にしました。
また、その後そのホテルの名前をネットで検索してみると、“心霊スポット”として有名なホテルだったのです。
皆さんも、見知らぬホテルを予約する際は、ご注意を……。
※この物語はフィクションです。
※記事に使用している画像はイメージです。

◆松木あや
ホラーやオカルトが好き。在住する東北の地で、ひんやりとした怖い話を収集しています。
恐怖体験の「おすそわけ」を楽しんでもらえると嬉しいです。
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