アフターピル(緊急避妊薬)とは?
アフターピルとは、「コンドームが破れた&取れた」「低用量ピルを飲み忘れた」など、避妊に失敗したときや、性犯罪に巻き込まれた際に、緊急的に妊娠を阻止する薬のことです。
緊急避妊薬や、緊急避妊ピルとも呼びますよ。
女性が産婦人科・婦人科を受診し、アフターピルを72時間(3日)以内に服用すれば、高い確率で妊娠を防ぐことができます。
24時間以内に服用することで妊娠を阻止できる確率は95%になるといわれていますよ。
妊娠を望まない女性にとって心強い存在だといえるアフターピルですが、医療用医薬品であるので、病院で医師の診察と処方を受けなければなりません。
最近ではオンライン診療でアフターピルを処方してもらうことも可能です。
アフターピルを処方する医療機関の受診が難しかったり、産婦人科・婦人科受診に精神的な負担を感じたりする方はぜひ活用してみてくださいね。
仕組み
アフターピルが作用する仕組みは、排卵の抑制や着床の阻害だと考えられています。
<仕組み>
- 排卵を促すホルモンの分泌を抑える → 排卵を遅らせる
- 子宮内膜の成熟を抑えて着床に適さない状態にする → 受精卵を着床をしにくくする
- 子宮頸管から分泌される粘液を変化させる → 精子の侵入を防ぐ
万が一、性交渉を持った日が排卵日付近で、アフターピルを排卵日後に服用したとしても、妊娠は成立しにくくなるそうです。
アフターピル(緊急避妊薬)の種類一覧♪
一口にアフターピルといっても種類があります。
世界で使われているアフターピルは、「ノルレボ」「レボノルゲストレル」「ヤッペ法(プラノバール)」「エラワン」の4つ。
ただ、日本で認可されているアフターピルは、「ノルレボ」と「レボノルゲストレル」の2つです。
ノルレボ
国内で初めて認可されたノルレボは、安全&効果の高いアフターピルです。
海外では、すでに同成分のアフターピルが薬局で購入できる市販薬(OTC薬)として認可されています。
名前:ノルレボ
値段:10,000円〜20,000円
服用方法:可能な限り速やかに1錠服用
効果:性交後24時間以内の服用であれば95%避妊できる
妊娠を防ぐ確率:72時間以内の服用で約75%、120時間以内であれば50%
副作用:頭痛、吐き気、下腹部痛、動悸、めまい、乳房の張りや痛み、眠気、倦怠感、体重増加など
出血:生理不順や不正出血がおこる場合がある
1〜2日ほどで症状がなくなれば心配ないですが、症状が重い場合や一向に改善しない場合などはすぐに医療機関を受診してください。
レボノルゲストレル(ジェネリック)
レボノルゲストレルは、ノルレボのジェネリック医薬品(後発医薬品)です。
名前:レボノルゲストレル
値段:3,500円〜6,800円
服用方法:可能な限り速やかに1錠服用
効果:24時間以内の服用で99%避妊できる
妊娠を防ぐ確率:48時間以内で98%、72時間以内で97%
副作用:頭痛、吐き気、一週間ほど生理が遅れることがある
出血:数日後くらいに少量の出血をすることがある
3週間たっても生理がこないようであれば、産婦人科・婦人科を受診してみてください。
ヤッペ法(プラノバール)
ノルレボやレボノルゲストレルが認可されるまで、日本で最も一般的に行われてきた緊急避妊法がヤッペ法(プラノバール)でした。
名前:ヤッペ法(プラノバール)
値段:1シート2,000円前後
服用方法:性行為後72時間以内に2錠服用し、その12時間後にもう2錠を服用
効果:性行為後12時間以内にプラノバールを服用すれば避妊率は95%以上だが、72時間以上経過してしまうと避妊効果は減弱
妊娠を防ぐ確率:避妊率は96%、妊娠阻止率は57%
副作用:吐き気、嘔吐、食欲不振、頭痛、肝機能異常、乳房痛、浮腫、体重増加など
出血:不正出血、子宮破綻出血、子宮点状出血などがおこる場合がある
プラノバールは低用量ピルよりホルモン含有量が多いので、「中用量ピル」と呼ばれていて、体内のホルモンバランスを大きく変化させます。
価格は安いのですが、ノルレボに比べ体への負担が多少多めで、副作用が現れる場合もあります。
また、プラノバールを服用しての喫煙は、血栓症リスクを大いに高める可能性があります。
プラノバールを服用するのであれば、禁煙しましょう。これをよい機会に禁煙するのもよいのでしょうか?
エラワン
最新のアフターピルとして注目されているのがエラワンです。
名前:エラワン
値段:9,000円前後
服用方法:120時間以内に1錠
効果:最も効果が高く、5日以内でも使える
妊娠を防ぐ確率:72時間以内に服用した場合の成功率は97.9%
副作用:吐き気、頭痛、嘔吐、めまい、倦怠感、腹痛
出血:服用後3〜7日、遅くても3週間以内に消退出血(いわゆる生理)があり、3週間以上たっても出血が見られない場合は妊娠検査
残念ながら日本ではまだ認可されていませんが、取り扱っているクリニックもあるようです。
アフターピル(緊急避妊薬)服用後が気になる!
アフターピルを飲んだ後が気になるという女性も多いのではないでしょうか。
アフターピルの種類でも紹介したように、頭痛や吐き気などの副作用があることもあれば、副作用がない場合もあります。
副作用がいつからいつまで続くかというのも個人差がありますよ。
また、アフターピルによって妊娠しなかったかどうかというのは、次の生理がくるまでわかりません。
生理予定日を1週間過ぎたのに「生理がこない」という場合は、避妊に失敗している可能性があるので、産婦人科・婦人科を受診することをおすすめします。
おりもの
個人差があるので何日後か断定できませんが、アフターピルの服用後は、早ければ3〜4日後、遅くても3週間後に消退出血という茶色いおりもの程度の出血が起こるよう!
消退出血ないまま生理がくることもあるようですよ。
ただ、他の理由での不正出血や妊娠初期による出血の可能性も考えられるので、異常を感じるようであればクリニックを受診するようにしてくださいね。
性行為
アフターピル服用後、効果がいつまで続くかわからないから「いつから避妊をしよう」と悩む方も多いようです。
アフターピルの効果時間は、服用してから5日程度!
排卵が起こる前の早い段階でアフターピルを使用した場合、効果が切れた後に排卵をするという可能性は十分にありえます。
つまり「服用したから大丈夫」と1週間後に避妊をせずに性行為をしてしまえば、妊娠する可能性も十分に出てくるということです。
失敗談にならないよう、アフターピル服用後も必ず避妊するのが◎
次の性交に向けて避妊法の指導してくれたり、低用量ピルの服用を推奨してくれたりする医療機関もあるので、相談してみるのもいいかもしれません。
アフターピル(緊急避妊薬)は通販で買える?
オオサカ堂などの個人輸入の通販サイトでも、アフターピルを購入することができるようですが、本物かどうかはわかりません。
しかし、偽物の可能性もあるのでとても危険です。
「安いから」「受診しなくていいから」「即日対応してくれるから」といった理由で購入してしまうと、本来の避妊効果を感じられないばかりか、予期せぬ健康被害を招いてしまう可能性も……。
アフターピルが必要な場合は、必ず医療機関を受診しましょう。
アフターピル(緊急避妊薬)は市販で買える?
今のところ、アフターピルは市販化されていません。
ただ、薬局(ドラックストア)での販売を求める声は多いです。
2017年には薬局販売が一度は見送られたものの、2020年10月8日に政府が処方箋なしで購入できるよう検討する方針を打ち出したことが報道されました。
いつからはまだわかりませんが、市販化される日も近いのではないでしょうか。
避妊の正しい知識を身につけよう♡
アフターピルの種類や効果、副作用、価格などについてご紹介しました。
性行為後にできるだけ早く服用することで、100%ではないものの、高い確率で避妊できるアフターピル!
万が一の事態にも落ち着いて対応できるように、アフターピルについての正しい知識を身につけておきましょう。
監修◆高橋しづこ(たかはししづこ)
産婦人科医
産婦人科専門医、臨床遺伝専門医、医療倫理学博士のライセンスを持ち、39歳で第1子、41歳で第2子、43歳で第3子を出産して3人の子をもつ母。 自身の高齢不妊や妊娠、出産の経験から、患者の心に寄り添うことをモットーとしている。
書籍『せかいがかぜをひいたから』オリジナル絵本サイト「YOMO」にて2020年8月公開
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