26年暮らした東京を離れ、那須へ。広がる“人と動物の輪”

話を聞くのは…
金田千愛(かねだちあい)さん。東京から栃木県・那須町へ移住して1年半。地域おこし協力隊として“婚活支援”を担当。フォトグラファーとしても活動中。
————那須へ移住されたきっかけを教えてください。
息子2人が成人して一段落ついたので、「そろそろ違う場所で、ひとりで暮らしてみようかな」と思ったんです。慣れ親しんだ東京を離れるのは勇気がいりましたが、勢いというか……ほぼノリでした(笑)。
縁もゆかりもなかった那須町だったけど、空き家バンクでたまたま見つけたお家が素敵で、仕事も決まっていなかったのに即決!オーナーさんは、ニューヨーク暮らしが長く定年後に那須に戻ってこられたおじいちゃん。いつも私のチャレンジを「あなたなら大丈夫!」と背中を押して応援してくれる素敵な方で、本当にラッキーな出会いでした。

画像:オーナーさん達
さらに、引越しのタイミングで地域おこし協力隊の内定をいただき、無事新生活がスタートできることに。親切な役場の方や地域のみなさんのお陰で、あっという間にこの土地が大好きになりました!
————那須での暮らしはどんな日々ですか?
朝起きて、窓の外の大自然を見るたびに「ここに来てよかった」と思います。音や光、空気で季節の移り変わりを感じられるのが最高に贅沢で。
それから、動物との関わりが深いのも好きなところ。ご近所に馬と暮らしている方がいるんですけど、“ペット”って言うと怒られるんですよ。馬も家族のひとりとして生活しているからって。その馬は「つるぎ」と呼ばれていて、人を背中に乗せてお散歩したり、一緒に写真を撮ったりと誰とでも触れあえる優しい子なんです。


画像:馬のつるぎと
そんな那須ならではの体験を、もっとたくさんの人に味わってほしいなあと日々感じています。
「人と人が無条件につながる時間」をつくる、婚活で地域を元気に!

————地域おこし協力隊として活動中とのことですが、どんなことをしているんですか?
今は婚活コーディネーターとして、“はじめましてから始まる心温まるストーリー”をコンセプトに『nasu.matching』という活動をしています。そもそも地域おこし協力隊に応募したのも、「婚活担当ってクレイジーで楽しそう!」と思ったからでした。
婚活といっても、恋愛だけを目的にするのではなく「人と人が無条件につながる時間」をつくることを大切にしています。
具体的には、那須町にはまだない暗闇フィットネスイベントや、ラーメンづくりイベントを企画したり。『夜カフェ』というホームパーティを主催したり。ちなみにこの『夜カフェ』は特に人気の企画で、現在定期開催中!みんなで食事をしながらざっくばらんな話をして、ボードゲームを楽しんだりするとてもカジュアルなイベントなんですが、何組もカップルが誕生していますし、成婚した人たちもいるんですよ。
イベントで出会った人たちが男女問わず仲良くなっていくのが何より嬉しいです!

画像:夜カフェの様子
————婚活って、ちょっと構えてしまう人も多そうですが。
そうなんです。でも私は思うんです。婚活は恥ずかしいことじゃない。ただ単に“まだ出逢えていなかっただけ”だと。
出会いに挑戦するのって、本当に素敵なこと。「もう遅いかも」なんて諦めずに、自分のタイミングで踏み出してほしい!


画像:nasu.matching フリーマーク
今新たに、出会いを求める独身者であることを示す「フリーマーク」の配布を行なっています。マークはスマートフォンの裏面など見えやすい場所に貼って、出会いのきっかけにしていただけたらと。みなさんに、もっと気軽に婚活してほしいなという願いを込めています。
出会いをデザインする「Nkon」婚活プロジェクトも進行中
————那須町の域を超えた婚活プロジェクトにも携わっているそうですね。
はい。栃木県那須町と福島県西郷村が県を跨いで行う婚活事業「Nkon」にも携わっています。
「まだ出逢えていなかったことが、喜びに変わる瞬間がここにある」というテーマのもと、リゾート空間で出会いを楽しむイベントです。行政主催のイベントなので参加条件*はありますが、当てはまるラッキーな方はぜひ参加してください!
*…男性:那須町、西郷村に在住在勤の独身の方/女性:地域を問わず参加可能(結婚後に那須町、西郷村に移住可能な方)
怒涛の秘書時代を経て、結婚、妊娠・出産、そして離婚

————移住前はどんなことをしていたのでしょうか。
色んな仕事を経験しました。20代の頃はイベントレポーターやコンパニオンのキャスティング業をしていて、ある時、当時ライブドアの社長だった堀江貴文(ホリエモン)氏と仕事現場で出会い、突然秘書に転身(笑)。
秘書時代は寝るまもないくらい忙しかったけど、とにかく毎日楽しくて。なんの能力もない私に、たくさんチャレンジをさせてくれるありがたい環境でした。あの頃の経験が今に繋がっていると心から思うし、「チャンスは自分で掴みにいっていい」ということを教えてもらいました。
————その後は専業主婦をしていたと聞きました。
はい。結婚して、妊娠・出産し、大好きだった秘書の仕事も辞めて専業主婦になりました。自分の子を誰かに預けて働くってことが考えられないほどに、子育てが楽しくて!
しばらくして、趣味だったカメラでお仕事のご依頼をいただくことがあり、フリーのフォトグラファーに。ちょうど、カメラの仕事をもっと頑張りたいと思い始めた頃、離婚を経験しました。
離婚はしましたが、あの時のチャレンジが今の私の基盤にもなっています。結婚生活も私の人生の宝物ですし結婚してみて良かったと心から思っています。
地域おこし退任後も那須町に残りたくて


画像:居酒屋大八
———これからまた新しい挑戦をされるとか。
今、那須町の空き店舗バンクで出会った物件を借りて、町内外問わずみんなが気軽に集まれるカフェ兼居酒屋「大八」のオープンに向けて準備中です。
とはいえ、私は地域おこし協力隊の仕事があるのでどうしようかな?と考えていた時に、何度か那須を訪れている次男に相談をしたら「じゃ、僕たちが手伝うよ!」と言ってくれて。今は、東京との二拠点生活でお店のリフォームや保健所の申請を進めてくれたり、メニュー開発のために近所のお友達を招いて試食会を開いてくれたりと試行錯誤の日々。全てが完璧にできなくても、誠実でみんなに愛されるお店になってもらいたいです。
もともとここは、前オーナーの女性が昔53年続けていたお店。83歳の彼女にご挨拶でお会いした際に"53年"も継続できたのが納得できる素敵な方だったので、(別の店名を考えていましたが)その場で「そのまま”大八”を継承させてください」とお願いしたんです。また私の憧れの人が増えました!
————最後に、これからの目標を教えてください。
とにかくたくさんの経験をして人生の思い出のページを増やしたいです。「ちあいちゃん、那須で出会いをつくるの巻」「ちあいちゃん、居酒屋を始めるの巻」「ちあいちゃん、また誰かの笑顔に出会うの巻」ってね。
人生は“思い出作りの連続”だと思っています。那須に来て、人や動物に出会って、とにかく腹の底から笑い合える毎日が、今の私にとっていちばんの宝物です。あなたがいてくれてよかったと言ってもらえるような生き方をしたいです。
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どの時代もチャレンジを恐れず、ハッピーな生き方を貫く千愛さん。死んでからのことは誰にもわからない、「じゃあ死ぬまで毎日楽しく生きよう!」という想いが小さい頃からあるそう。
地方移住をして、人をつなぐ「婚活アドバイザー」という仕事にめぐりあったことが人生の転機であると語ってくれた彼女のように、「住む場所」「出会う人」がみなさんの人生にも大きな変化をもたらしてくれるかもしれません。
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