変な習慣
うちでは、お盆の墓参りに行ったら最後にみんなで写真を撮るのが恒例でした。
祖父が写真好きだった名残らしく、お墓をきれいにしてお花と線香を供えて、手を合わせたあと、墓石の前に並んで一枚だけ撮るんです。
子どもの頃は正直意味がわからんと思ってました。
でもアルバムを見返すと、私や弟の背が少しずつ伸びているのが記録されていたりして、どれも結構いい写真なんですよね。
この間も、お墓参りのついでに昔のアルバムを引っ張り出してみたんです。
その中の一枚を見た時、あれ、と思いました。
「……人数が合わない」
一人多い
その日その場にいたのは、祖母、両親、私、弟、おばさんの6人のはず。
でも写真には、墓石の横にもう一人、知らない男性が立っています。
最初はおじさんかなと思いました。
でもおじさんはその年、仕事で来ていなかったはずなんです。
喪服みたいな黒っぽい服を着て、うつむき気味に立っているので顔ははっきりしません。
その場にいた誰かが偶然入り込んだという感じでもなくて、最初からそこにいるのが当たり前みたいに、自然に並んでいるんです。
「これ、誰?」
そう聞くと、母は一瞬だけ写真を見て、すぐにページをめくろうとします。
「ちょ、待って、変だったじゃん今の写真」
「そうだった?」
その反応が妙に引っかかって、気になってしまったんです。
それで、押し入れの奥にしまってある古いアルバムまで引っ張り出して、過去のお盆の写真を何年分か見返しました。
全部の写真じゃないんです。
何年かに1回、写真の人が一人多い。
外見も、性別もバラバラでした。
年配の男性の人の年もあれば、小さい子どもの年もあります。若い女性の年もありました。
どれもうちの家族の誰かのすぐ隣に、ぴったり寄り添うみたいに立って映っている。
立っている位置もバラバラでした。
祖母の隣の年もあれば、母の隣の年もあって、まだ小学生だった私のすぐ後ろに立っている写真もあります。
奇数
ぞっとしてアルバムを閉じた時、いつの間に後ろに立っていたらしい祖母が言いました。
「懐かしいの見てるのね」
私はアルバムを抱えたまま聞きました。
「これ、たまに映ってる知らない人たち、誰なの」
祖母は少し考えるみたいに黙ってから、静かに言いました。
「昔の人たち」
意味がわからない。納得していないのが顔に出ていたんでしょう。祖母はため息をついて続けます。
「昔、写真がまだ珍しかったころ……、聞いたことない?写真の真ん中に映ると、寿命が縮む」
そう言って、祖母は私の手元のアルバムをそっと取り上げました。
人が増えているのは、墓参りに行った家族の人数が偶数の年の写真だけでした。
※この物語はフィクションです。
※この記事に使用している画像はイメージです。

◆味醂
子どもの頃から怖い話が好きで、ホラー小説やネット怪談など、文章作品を中心に親しんできました。
映像作品の痛そうな表現や急に驚かせる演出は少し苦手ですが、想像がふくらむ怖さや、日常の違和感が少しずつ不穏さを増していくような話に惹かれます。
読んだあとふとした瞬間に思い出してしまうような“あとから効いてくる怖さ”を大切にしています。
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