【ゾッとする怖い話】次の日、妙な噂を聞きました。夕暮れ時に駅で起きた恐怖体験

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あの日の駅は、何だったのか。あのおじいさんはいったいどこへ行ったのか。
そういえば「火車」という遺体を盗む妖怪がいたような……。

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海野秀平
海野秀平
2026.10.30

それは疲れたある日のこと

夕暮れ時の住宅街出典:stock.adobe.com

私がまだ学生だった頃の話です。
その日は塾の講習があまりに難しく、疲れ切っていました。

ちょうど夕暮れ時。
少しぼうっとしながら駅へ向かっていると、葬式看板が目に入りました。

友人が「駅前の大きな屋敷の意地悪じいさんが亡くなったらしいよ」と噂していたことを思い出し、ああこれかあ、と通り過ぎました。

すれ違い様に意地悪をしたり、下品な声掛けをしたりするような人で、塾生はその訃報に驚きながらもどこかで喜んでいたのです。

辺りにはうっすらと線香の香り。
そしてなぜか改札の音程がいつもと違う気がしました。

夕方、人が溢れかえるはずの駅のホームは、その日だけ誰もいません。
「ラッキーだな」と思いながら待っていると、下り線の電車がやってきました。

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電車の中

電車はとても空いていました。乗客がほんの数人なのです。

「おかしいな。この時間はいつも混んでいるのに」

そう思いながらドア横の座席に座ろうとすると、ふと違和感を覚えました。

乗客がみんな俯いて、怯えているような表情をしているのです。
入院着やパジャマを着ていて、スーツの人もいるけれど、空気が重苦しい。

電車の中はツンと鉄のにおいがしました。

不思議に思った次の瞬間、腕を強くつかまれました。
驚いて振り向くと、険しい顔をした、浴衣姿のおじいさんがいました。

「オイ、お前生きているんだろう!ワシと変われ!」

唾を飛ばしながら怒鳴ってきたのは、お屋敷の意地悪じいさんでした。

「ワシは行きたくない!死にたくない!」

叫ぶおじいさんの口が、何者かの手によって塞がれます。
その手は、電車の壁やつり革から伸びていました。

電車の天井にはいくつもの目が浮かんで、ぎょろりとおじいさんを睨みつけています。
長い爪が、叫ぶおじいさんの口を引き裂いて鉄の匂いがしました。

痛がって転んだおじいさんが、そこら中から生えた手に絡めとられていきます。

“プルルルル”

電車の発車ベルが鳴ります。
その音で我に返り、転がるようにして電車の外に出ました。

扉が閉まると、電車はおじいさんの叫び声を乗せたままホームを去っていきます。
おじいさんに掴まれた腕が、まだ痛んでいました。

今思えば、あれは紛れもない恐怖体験でした。

いなくなったおじいさん

駅の階段出典:stock.adobe.com

その次の日、妙な噂を聞きました。

例のおじいさんのご遺体が消えたそうです。
空になった布団には、おじいさんのものではない長い爪が一本落ちていたとか……。

数年経ってあの古いホームは取り壊されてしまいました。
ただ今でもたまに、新しい駅のホームで鉄の匂いが強く鼻を掠めます。

きっと“そういう”車が利用する、駅なのでしょう。

※この物語はフィクションです。
※記事に使用している画像はイメージです。

※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。

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海野秀平

見えない聞こえない存在や不思議な現象がだいすきで、幼少から怪談話やホラー系の小説、映像作品、ゲームと様々なコンテンツを楽しんでいます。オカルト情報誌から民俗学書、インターネット掲示板と興味は多岐に渡り、いつか幽霊や妖怪に遭遇したいなと想う日々です。
怖い話に触れ続けると何かが寄ってくると言います。眠れなくなるような話をお届けできれば幸いです。
【note】https://note.com/michaeeel0321
【カクヨム】https://kakuyomu.jp/users/shuheiumino/works

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