エレベーターへの潜在的な恐怖心
私は昔からエレベーター特有の浮遊感が苦手でした。
しかし職場が雑居ビルの7階にあったため、毎日のように利用しています。
エレベーターは一基しかなく、かなり年季が入っていました。
動き始めるときや止まるときには独特の揺れがあり、日々げんなりしながら乗っていたのを覚えています。
ある日を境に、私はエレベーターを使わなくなりました。
残業で帰りが遅くなったときのことです。
ほかの会社もすでに営業を終えており、ビルの中は静まり返っていました。
私はいつものようにエレベーターに乗り込み、1階のボタンを押しました。
突然鳴り響いた警告音
扉が閉まり、ゆっくりと下降し始めます。
その瞬間、ふわりと身体が浮くような感覚がありました。
いつもより揺れが少し強い気がしましたが、もともとエレベーターが苦手な私は、必死に気にしないようにしていました。
ところが、3階を通過したあたりで突然警告音が鳴り響きます。
ピーッ、ピーッ!!
驚いて表示を見ると、重量超過を知らせるランプが点灯していました。
もちろん、乗っているのは私一人です。
しかも最悪なことに、エレベーターは階の途中で停止してしまいました。
「えっ、嘘!?故障?」
狭い箱の中で警告音だけが鳴り続けています。
焦って頭が真っ白になり、「開」のボタンを連打しましたが、反応はありません。
はっとして非常ボタンを押そうとしたところで、ふいに音が止まりました。
ランプも消え、何事もなかったかのようにエレベーターが動き始めます。
ほっと胸をなで下ろした、その直後のことです。
見えない何かの気配
ガクン。
突然、床が大きく沈み込むような感覚がありました。
まるで重い荷物を一度に積み込んだときのような、嫌な揺れです。
しかし、エレベーターの中には相変わらず私しかいません。
それなのに、今度は足元がわずかに傾いたように感じました。
思わず壁際へ身を寄せると、また床が小さく揺れました。
……全身に鳥肌が立ちました。
何も見えません。
足音も、息遣いも聞こえません。
ただ、狭い箱の中で、自分以外の何かが動いているような感覚だけがありました。
早く1階に着いてほしい。
そう願いながら階数表示を見つめていると、ようやくエレベーターが停止しました。
扉が開くと同時に、私は転がるように外へ飛び出します。
すると、背後で再び警告音が鳴りました。
ピーッ、ピーッ!!
振り返ると、扉が開いたままのエレベーターで重量超過ランプが点灯しています。
中には誰も乗っていません。
私は怖くなり、そのままビルを飛び出しました。
翌日、管理会社に連絡しましたが、点検では特に異常が見つからなかったそうです。
それ以来、エレベーターは上りでも下りでも使うのをやめました。
職場の人には何度も理由を聞かれますが、あんなに恐ろしい思いをするぐらいなら、足がパンパンになる方がいくらかマシです。
※この物語はフィクションです。
※記事に使用している画像はイメージです。

◆さしすせそそぎ
怪談や都市伝説、モキュメンタリー作品が好きで日頃からさまざまなホラーコンテンツに触れています。不気味な余韻が残る物語や「読まなければよかった」と思いながらも続きが気になってしまうような怖い話をお届けできればと思っています。
特に、人の悪意や心理が生み出す恐怖を描いた作品や読み終えたあとにもう一度振り返りたくなるような意味が分かると怖い話、ひんやりとした読後感が印象に残る物語が好きです。
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