【松井玲奈さん主演】2022年9月16日(金)公開の映画『よだかの片想い』
松井玲奈(まついれな)さん演じる顔の左側にはアザがあり、幼少期にからかわれたことから恋や遊びに消極的になっている理系大学院生・前田アイコ。彼女は、「顔にアザや怪我を負った人」をテーマにしたルポ本に参加します。偶然、表紙の撮影現場に遭遇しアイコの佇まいに魅了された中島歩(なかじまあゆむ)さん演じる映画監督・飛坂逢太が、アイコに映画化を打診するところから物語が進んでいきます。
はじめは映画化を断っていたアイコでしたが、次第に飛坂の人柄に惹かれていき段々と2人の距離が近づいていく。しかし、飛坂の元恋人の存在や映画化のために自分に近づいたのではないかというアイコの懐疑心から、2人の関係に変化が……。アイコと飛坂のラブストーリーだけでなく、アイコ自身が人生と向き合っていく、そんな繊細で心に響く映画です。
映画『よだかの片想い』は、2022年9月16日(金)に新宿武蔵野館ほか全国公開されます。
念願が叶った主演。松井玲奈さんがこの映画にかける思いとは
女優、タレント、小説家など多岐に渡ってご活躍中の松井玲奈さん。そんな松井さんが念願だったという今作品のアイコ役。松井さんの熱い思いを伺うべく、4MEEE編集部がインタビューをしてきました!
————今回の「よだかの片想い」へのご出演は、松井さんたっての希望だったそうですね。ご出演が決まられたときのお気持ちは?
「すごくプレッシャーを感じましたね。今回、脚本の段階から参加させていたただいていて、撮影までの間に多くのスタッフさんが準備してくださっているのを間近で見てきました。その皆さんの思いや期待にちゃんと応えられるのだろうかと……。公開を控えた今は、自分たちが作ったものがどう届くのだろう?という不安に近いプレッシャーを感じていますね。
もちろん自信が持てるような作品を作れたとは思っているのですが、人によって受け取り方や感じ方はさまざまなので。私みたいに、原作や著者の島本理生(しまもとりお)さんの作品が好きな方が見たらどう感じるかな?などといろいろな人のことを考えます。公開しないと見た人の反応はわからないので、とにかく今はソワソワしていますね」
————原作のどこに惹かれたのですか?
「リアルな描写に心打たれました。ドラマチックな展開がないというわけではないのですが、静かに恋が始まっていくんです。火が灯ってからちょっとずつ大きくなっていくのが、とても現実的だなと。これまで私が触れてきた恋愛にまつわる映画やドラマは、エンタメ要素が強いものが多かったのですが、ある時、とても久しぶりに本を読もうと思って手に取ったのがこの原作で、引き込まれました。
淡々と恋が進んでいくのですが、振り返るとアイコ自身の気持ちはすごく動いていて、大きな決断をしている場面もある。アイコはある意味、地に足がついているようなしっかりした人なんですが、恋のことになると浮足立ってしまうんです。その人間らしいリアルな姿が、私には魅力的に写ったのかなと思います。
恋愛模様が急にガラッと変わるというよりは、関係値や思いが積み重なって徐々に変化していくところがすごく好きです。アイコに共感したから惹かれたというわけではなく、この作品が映像になったらどうなるのだろう?という思いが湧き、映画化を希望しました」
————アイコ役を演じられる上で、意識されたことや印象に残っていることがあれば教えて下さい。
「いつも現場に原作の本を持っていって、脚本と照らし合わせながら彼女はどういう考えなのか、感情なのか、相手に対してどう思っているのかを確認しながら演じました。
あとは、アイコは顔にアザがある女性ではありますが、彼女にとっては生まれたときからずっとその姿なので無理に意識しすぎないようにしました。ただ、アイコと接する相手は、このアザのことを受け入れている人なのか受け入れていない人なのかは考えましたね。相手がどう思っているかによって、アイコの接し方や身体の向きなどちょっとしたことが変わるのではないかなと。でも、一番考えていたのはやっぱり、飛坂さんとの恋が進んでいく中で彼女はどう変わっていくのかですね」
————役作りとして行ったことは?
「心がけてやったことは特にないかもしれないです。人は誰しもコンプレックスを持っていると思います。でも、それは周りから何かを言われて初めて“コンプレックス”になるのだなとこの作品で気づくことができました。『誰かに言われたことで、自分の苦手だなと感じたこと』を少し思い出して、アイコの気持ちに近いものを感じようとはしました。
ですが、基本的には自分の経験や感情を参考にするよりは、原作や脚本からアイコはどういう人なんだろう、どうやったら見ている人にアイコが伝わるだろう、ということを考えながら演じました。ただただ1人の女性が恋愛をして変化していく様を演じたいと思って挑みました」
————脚本の段階から関わられたとのことですが、いかがでしたか?
「今回のように原作があるものは、原作の中に道しるべやヒントがあります。だけど、私が原作を好きすぎたがゆえに、それが良くない方向に転じてしまうことが……。演じる側の声は脚本に大きく反映されるので、良くも悪くも怖さみたいなものを感じました。脚本にがっつり入るようなことは、しばらく遠慮しておこうかなと思っています(笑)。
私はものを書く人間でもあるので原作から脚本までどのように作られているのか、また俳優としては自分たちが実際に演じるまでにはどんな過程があるのかを知れたのはとても良い勉強になりました」
————アイコは飛坂との出会いで人生が一変していきます。松井さんがこれまでに出会った人の中で、影響が大きかったと思う人は?
「5年ほど前に『ベター・ハーフ』という舞台に出演して、鴻上尚史(こうかみしょうじ)さんの演出を受けました。私は再演から参加しまして、私以外の3人の演者の方は前作から続けて出演されていました。物語自体は前作と変わらないのですが、演じるまでの道筋は人によって感じ方が違うから、改めてみんなで脚本について話しましょう、と鴻上さんが言ってくださって。
鴻上さんが脚本を書かれているので、もちろん正解の演じ方が頭にあったと思うのですが、私が伝えたことを否定せず鴻上さんが思っている演出に導いてくれるというやり方でした。お芝居は表に出ている感情に至るまでの道筋が人それぞれ違うと思います。
そこを尊重し、なおかつこのような考え方があるのだと教えてもらったのは、芝居をしていく上でいい発見であり勉強になったなと思います」
————映画「よだかの片想い」の公開を楽しみにしている4MEEE読者に向けて、一言メッセージをください!
「自分の初恋を思い出してほしいです。初恋だからこそできる勢いやためらいがあるはず。自分はこうだったな、でも映画はこうだったなと思い出してくれたら嬉しいですね。
先日、たまたま別の仕事で行った現場が、アイコの部屋で使われていた場所でした。部屋に入った瞬間に撮影したシーンやその時のアイコの気持ちを思い出して、切なくなりました。こんなことは今までなかったので、きっと私の中に『アイコを演じた』ということは強く刻まれているのだなと思います。
それくらい、私にとっては思いがこもっている作品になりました。ぜひ、いろいろな方に見ていただきたいです」
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原作が大好きで、映画化を自ら希望されて実現した今作品の主演。ていねいに繊細に、そして1人の女性としてのアイコをとても大切に演じられたことが伝わってくるインタビューでした。映画『よだかの片想い』は2022年9月16日(金)より全国で公開されます。ぜひ、劇場でご覧ください!
◆よだかの片想い 公式HP / 公式Twitter / 公式Instagram
原作:島本理生『よだかの片想い』(集英社文庫刊)
監督:安川有果 脚本:城定秀夫
主題歌:角銅真実「夜だか」(ユニバーサル ミュージック)
音楽:AMIKO
出演:松井玲奈、中島歩
藤井美菜、織田梨沙、青木柚、手島実優、池田良、中澤梓佐、三宅弘城
企画協力:グリック、SPOTTED PRODUCTIONS
制作プロダクション:ダブ / 配給:ラビットハウス
©島本理生/集英社 ©2021映画「よだかの片想い」製作委員会
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Photographer : Chiai
Interview:4MEEE
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