【ゾッとする怖い話】『つぎは、あなたのばん』エレベーターでの恐怖体験

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古い友人から呼び出された女性。
やつれた様子の友人は、奇妙な人物に付きまとわれているのだそうです。

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底渦
底渦
2025.06.24

高校時代の友人

ある日、私は喫茶店で旧友を待っていました。

「聞いてほしい話があるの。できるだけ早く会いたいんだけど、暇な日を教えて」
久しぶりに届いたメールの送り主は、高校時代の友人S子。

なにか困っていることがあるのでしょう。
私はメールを受け取ってすぐに、彼女と会うための時間を設けたのです。

約束の時刻は午後6時。
しかし、すでに時計は6時20分を指しています。

私は窓の外が暗くなっていくのを眺めながら、ぬるいコーヒーを口に運びました。

「いらっしゃいませ」

店員の声で顔をあげると、目の前にはひどくやせた、憔悴した様子のS子が現れた。

「ひ、ひさしぶり……」
「ひさしぶり。遅くなっちゃってごめんね。ちょっと最近、変な人に付きまとわれてて……」

そう前置きをしてS子が話しだしたのは、実に奇妙で恐ろしい体験談でした。

S子の体験談

無人のエレベーター内を映すモニター出典:stock.adobe.com

私はいま、女性専用マンションに住んでいます。
家賃が高い分、セキュリティや気遣いが行き届いているのが魅力的。

たとえばエレベーターホールにも、外から中の様子がわかるモニターが設置されています。
男性恐怖症の私にとって、とてもありがたかったのです。

……しかし先日、このモニターにおかしなものが映っていました。

月初めの夜のこと。
仕事から帰宅した私は、マンションのエントランスを抜け、くたくたの体でエレベーターの前に立ちました。

頭上のモニターに映し出されていたのは、だれもいない空のエレベーター。

私は安心して上昇のボタンに触れ、エレベーターが下りてくるまで時間を潰そうと、スマートフォンを取り出しました。

ジ、ジジ……。

しかし、電子機器が発する耳障りな音が聞こえ、反射的に上を向きます。

「え?」

モニターの中には、いつの間に乗り込んでいたのか、カメラに背を向けて立つ中肉中背の女。
それだけならおかしなことはありませんが、とにかく妙なのです。

女は下降するエレベーターのなかで、不可思議なポーズを取っていました。

手首をだらんと下に向け、直角に折り曲げた両腕。
頭を右に傾け、両膝をくっつけて姿勢を低くしながら立つその姿は、まるで操る人のいないマリオネットのよう。

変な人が降りてくる……。
女と鉢合わせたくなかった私は、物陰に隠れます。

ピンポーン。
到着を知らせるエレベーターの音が鳴り響き、ドアがスーッと開きました。

笑み

エレベーターのボタン出典:stock.adobe.com

しかし、誰かが降りてくる様子はありません。
ドアが閉まる気配を感じ、私はおそるおそるエレベーターに近づきます。

「ヒッ!!」
モニターを見上げたその瞬間、私は息が止まるほど恐ろしい光景を目の当たりにしました。

あの女が、こちらを向いて満面の笑みを浮かべているのです。

その目はカメラではなく、モニター越しの“私”を見つめている……、そう感じました。

『つぎは、あなたのばん』

音を拾わないはずの映像なのに、確かに女の声が聴こえてきました。

……それからというものの、ふとしたときにあの“女”が私の目の前に現れるようになりました。
今では、一日に何度も奇妙なポーズを取る彼女の姿を見るようになって……。

現れた女

ここまで話したあと、S子は突然顔をこわばらせ、窓の方を見ました。

「その女!その女がついてくるのよッ!」
「え……?」

私は窓の奥の暗がりに目を移しますが、人の姿どころか、すぐ先の景色すら見えません。

「なんで!?なんで私にしか見えないの!?きっと呪われているんだわ……」

S子はそう叫んだあと、逃げるように喫茶店を飛び出しました。
取り残された私は唖然とするばかり。

一体、S子には何が見えていたのでしょうか。

彼女は自身の体験談を口にしながら、話の中に出てくる女と同じポーズを取っていました。

私はその女の不気味さを伝えるために、S子があえてそうしているだと思っていたのですが。
……彼女は窓に映った自分を見て突然怯えだしたのです。

S子には、自分自身の姿が“ナニ”に見えていたのでしょうか?

「一日に何度も奇妙なポーズの女を見る」
……そう言った彼女からの連絡は、この出来事以降ありません。

※この物語はフィクションです。
※記事に使用している画像はイメージです。

底渦

◆底渦

中学生で都市伝説にドハマりし、2chホラーと共に青春を駆け抜けたネット廃人系オカルトライター。

怖い話の収集・考察が趣味です。

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底渦

中学生で都市伝説にドハマりし、2chホラーと共に青春を駆け抜けたネット廃人系オカルトライター。
怖い話の収集・考察が趣味です。