【ゾッとする怖い話】「さっき、扉が開いたんです」駅のエレベーターで起きた恐怖体験

Lifestyle

駅で働いていると、利用客からさまざまな問い合わせを受けます。
ある日、「エレベーターが途中の階で止まった」という不思議な話を聞いたのですが……。

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味醂
味醂
2026.10.23

変わった問い合わせ

地下鉄のりばへの案内表示がある、駅構内のエレベーター。出典:stock.adobe.com

地下鉄の駅で、駅員として働いています。

ある日、改札に立っていると、エレベーターを降りてきた年配の男性から声をかけられました。

「あの、ここって4番線で合ってますか?」
「はい。4番線でしたらこちらですよ」
「そうですか、ありがとう……間違えて1つ上の階で降りそうになってしまって……」

男性の言葉の意味がわかりませんでした。

この駅のエレベーターは、地上と地下の改札階を結んでいます。
途中に乗り場はありません。

「いえ、途中には止まりませんが……」

そう答えると、男性は首をかしげました。

「さっき乗ったら、途中で扉が開いたんですよ。ホームみたいなところがあって」

詳しく聞くと、地下へ降りる途中でエレベーターが止まり、扉の向こうに古い駅のホームが見えたそうです。

「降りようかと思ったんだけど、誰もいなかったから、そのまま乗ってたんです」

男性は少し気味悪そうにしていました。
私は設備の不具合かもしれないと思い、確認することにしました。

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異常なし

設備担当者に点検してもらいましたが、特に異常は見つかりませんでした。
運行記録にも、途中で停止した記録はなかったそうです。

男性の勘違いだったのかもしれません。

ところが、その数日後。
今度は若い女性から、似たような問い合わせがありました。

「エレベーターの途中に、古い売店みたいなのがありますよね?」

話を聞くと、地下から地上へ上がる途中で一度扉が開いたそうです。
その先には、シャッターの下りた売店と、薄暗い通路があったといいます。

もちろん、そんな場所はありません。
念のため再度点検してもらいましたが、やはり設備に問題はありませんでした。

ただ、二人とも同じエレベーターに乗っていたことが、少し気になりました。

途中の階

タイル張りの地下通路出典:stock.adobe.com

それからしばらくして、終電後のことです。
業務を終えて、私は地上へ向かうエレベーターに乗りました。

いつもどおり上がっていたはずなのに、途中でふっと動きが止まりました。
故障かと思った次の瞬間、扉が開いたのです。

目の前には、見覚えのない通路がありました。
壁は古びたクリーム色で、天井には蛍光灯が並んでいます。

少し先には、古い路線図が貼られていました。
そこに書かれた駅名は、今の路線図では見たことがないものでした。

あの男性と女性が言っていたのは、ここのことだったんだ。
そう思った瞬間、背筋が寒くなりました。

通路の奥から、電車の到着を知らせるようなベルが聞こえてきます。

慌てて「閉」ボタンを押しました。

でも、扉が閉まりません。
何度押しても、開いたままです。

そのとき、通路の向こうから誰かが歩いてきました。
駅員の制服を着た男性です。

男性は私を見ると、驚いたように立ち止まりました。

「すみません、もう最終が出ましたので」

そう言って、男性が扉の横にあるボタンを押すと、ゆっくり扉が閉まりました。
扉が閉まると、エレベーターは何事もなかったように動き始めました。

地上に着いたときには、足が震えていました。
今思えば、あれは紛れもない恐怖体験でした。

昔の制服

翌日、出勤した際に先輩へ昨夜の出来事を話しました。
先輩は茶化すこともなく、黙って耳を傾けています。

そして、私が駅員の男性について話すと、「その人、どんな制服だった?」と尋ねてきました。

帽子の形や上着の色、胸元についていたバッジなど、覚えている限り説明しました。
すると、先輩は少し考え込んでから、古い資料を見せてくれたのです。

そこに写っていたのは、何十年も前の駅員たち。
彼らが着ていたのは、私が見た男性と同じ制服でした。

あの通路はいったいどこにつながっていたのでしょうか。

※この物語はフィクションです。
※この記事に使用している画像はイメージです。

味醂

◆味醂

子どもの頃から怖い話が好きで、ホラー小説やネット怪談など、文章作品を中心に親しんできました。
映像作品の痛そうな表現や急に驚かせる演出は少し苦手ですが、想像がふくらむ怖さや、日常の違和感が少しずつ不穏さを増していくような話に惹かれます。
読んだあとふとした瞬間に思い出してしまうような“あとから効いてくる怖さ”を大切にしています。

【SNS】
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